(画像はMicrosoftの公式サンプル環境のFantasy Island)
Windows Mixed Realityでは電源を入れてヘッドセットを被ると、まず「クリフハウス」あるいは「スカイロフト」という環境に飛ばされます。
どちらも非常に贅沢な家のある環境で、はじめは感動したのですがだんだん飽きてきました。
特に鳥の声が単調な繰り返しなのが、うざい… 引っ越ししたい!
ということで調べてみたところ、Windows Mixed Realityでは初期環境のクリフハウスやスカイロフト以外のカスタム環境を追加することができることが分かりました。
本格的にやろうとすると3Dの製作技術が必要になりますが 、初心者でもとりあえずできる方法もあります。
今回それを試してみました。
※(2019年7月5日)Windowsのバージョンアップで自作環境をうまく読み込めなくなったので、その対策を追記しました。
Microsoftの提供するサンプル環境を追加する
公式のリファレンスがあるので、まずはそれを参考にしてサンプル環境を入れてみることにします。
1.サンプル環境をダウンロードする
サンプル環境が公開されているので、それをダウンロードします。
の`Download our sample Fantasy Island environment`よりダウンロードします。
2.ダウンロードしたファイルを解凍
ダウンロードしたファイル(Fantasy_Island.exe)は自己解凍形式になっているので、実行して解凍します。
3.フォルダに追加する
解凍すると、Fantasy Island.glbというファイルができます。それをフォルダ
%LOCALAPPDATA%\Packages\EnvironmentsApp_cw5n1h2txyewy\LocalState
に入れます。
エクスプローラーで適当なフォルダを開いて、上記パスをアドレスバーに入力して、Enterを押せば目的のフォルダに移動できます。
4.Windows Mixed Reality を起動
Mixed Realityを起動します。
5.追加した環境を選ぶ
VR内でコントローラーのスタートメニューボタンを押してスタートメニューをだします。
「環境」を選択すると「Fantasy Island」が追加されているので、「Fantasy Island」を選んで設置後、起動すると環境が切り替わります。
Windows Mixed Reality用カスタム環境を自作する
サンプル環境の他にも、いろいろな環境を試してみたくなりました。
検索してみましたが、ハイクオリティな自作カスタム環境を公開している人というのは、この記事を書いた時点では残念ながら見つかりませんでした。
カスタム環境の作り方の動画
しかし、Windows10標準搭載の「ペイント3D」でカスタム環境を作る方法を解説している動画を見つけました。
カスタム環境をペイント3Dで作る
動画を参考にして、とりあえずテスト用に適当な環境を作ってみることにします。
1.ペイント3Dを起動
まずはペイント3Dを起動します。
スタートメニューを開いた状態で「paint」と入力すると、ペイント3Dを検索できるのでクリックします。
2.新規作成
次に新規作成をクリックして編集画面を出します。
3.キャンバスのサイズを変更
編集画面でメニューの一覧から「キャンバス」を選択し、ズーム(表示倍率)を調整します。
下限の10%にまで下げます。
ズームの横の3D表示の切り替えボタンをクリックして3D表示に切り替え、そちらもズームを10%にまで下げます。
そしてキャンパスのサイズを、幅2940ピクセル・高さ1500ピクセルに変更します。
キャンパスのサイズは書き出すデータには特に関係ないようですが、作成時に大きさの目安になります。
このサイズはVRで見たとき、ちょうどソファくらいのサイズに見えるようです。
4.3Dライブラリを開く
最初はすでにあるものを使って作るのが簡単だと思うので、ペイント3Dに付属する3Dモデルを使うことにします。
メニューの一覧から「3Dライブラリ」を選択します。
5.3Dモデルを配置する
3Dモデルの画像をクリックしていくだけで3Dモデルは追加できるので、配置は簡単にできます。
部屋のモデルを追加してみました。
6.3Dモデルをリサイズ
3Dモデルをクリックすると、拡大縮小や奥行きの変更ができるので、がっつり拡大しておきます。
先ほど設定したキャンバスのサイズを、VR上でのソファサイズと考えて拡大率を調整します。
拡大縮小や奥行きの変更方法は、ペイント3D上でモデルを選択すると左上に出てくる「?」ボタンをクリックすると、動画で説明してくれるのでそれを参考にします。
ソファも追加してみました。
7.保存
メニューの一覧から「メニュー」を選び、「名前を付けて保存」で「3Dモデル」を選びます。
適当な名前を付けてGLBファイルとして保存します。
後でまた編集したいなら「ペイント3Dプロジェクトとして保存」もやっておきます。
※ペイント3Dのバージョンが古いとGLBで保存できない可能性があるそうです。
8.カスタム環境を追加する
サンプル環境を追加するのと同じように「glb」ファイルをフォルダ
%LOCALAPPDATA%\Packages\EnvironmentsApp_cw5n1h2txyewy\LocalState
に入れて、Mixed Realityを起動します。
9.VR内で環境を選択する
VR内でコントローラーのスタートメニューボタンを押してスタートメニューをだします。
「環境」を選択するとカスタム環境が追加されているので選択して設置、起動。
うまくいきました!
サイズ感もちょうどいい感じです。
作成時の注意点
・3Dモデルのサイズ
ペイント3Dは3Dモデルを開く際に、勝手にキャンパスに収まるサイズにリサイズしてしまいます。
実は動画を見る前にもペイント3Dで環境の自作に挑戦していましたが、その時はこれにはまりました。
サンプル環境の「Fantasy Island」をペイント3Dで開いて、少しだけ変えて上書き保存したのですが、Mixed Realityで環境を切り替えて周りを見渡しても何もない。
ふと足元を見ると、ミニチュアサイズのFantasy Islandが・・・
これを防ぐには、ペイント3D上で3Dモデルを編集するたびに拡大しておく必要があります。
・初期位置
キャンパスの位置の座標(0, 0, 0)がVR内での初期位置となります。
・保存
ファイル容量は256MBを超えてはいけません。
ペイント3Dの限界
ペイント3Dの画面内に収まる範囲までしかモデルの拡大ができません。
そこで動画の最後でも解説しているのが、「3D Builder」というソフト。
Windows10に標準で入っているか、なければ Microsoft Store で無料で入手できます。これを使えばモデルをより大きなサイズへと変更できます。
自作カスタム環境がVR内で選択肢に現れないとき
Windowsアップデートをした後、自作の環境がVR内で環境選択の選択肢からなくなってしまいました。
でも自作環境のglbファイルにMicrosoft謹製のglb最適化ツールを使うことで、無事選択肢に表示されるようになりました。
ダウンロードはこちらから↓
https://github.com/Microsoft/glTF-Toolkit/releases
ダウンロードした「WindowsMRAssetConverter.exe」にglbファイルをドラッグ&ドロップするだけでOKです。
「○○_converted.glb」という名前で最適化されたglbが作成されます。
コマンドプロンプトで使えば、他にもいろいろとオプションが選べます。
ReadMeへのリンク↓
https://github.com/microsoft/glTF-Toolkit/blob/v1.7.0/WindowsMRAssetConverter/README.md
ということで
WindowsMRにカスタム環境を追加することに成功しました!
でも、やっぱり自分で作るとしょぼい感じです。
VR内で下半分は灰色っぽくなりますが、初期環境では海とか地平線とかでうまく処理しています。
いったいどうやっているのでしょうか。
ライブラリのパーツを組み合わせることはできましたが、それ以上はちょっと難しそうです。